マーケティング(ABM/MA)に興味ありな大学生(卒論提出済み)のサイト。本のメモ、メディア記事メモ、Twitterメモなど個人用。卒論のテーマは「マーケティングオートメーション」「Mauic」関係でした。 自分用メモですが、ネット上の誰かのためにもなったら幸いです。

・ユーザーベース「SPEEDA(スピーダ)」を活用してABMに取り組み成果
・SPEEDAは、2009年にリリースされたB2B版「Google」のようなWebサービス。

課題

営業側:案件化率が低い
マーケティング側:リストを精査するだけの時間や手間がない。
→せっかく獲得したリードもフォローのタイミングが遅れたり放置されたりして、機会損失が起こってしまう。

これまでのDGとABM

旧来のデマンドジェネレーション(DG)施策はリード(個人)が主な成果となっており、アカウント(企業)視点で考える営業部門とは目指すゴールが異なっていた。
ABMでは最初にターゲットとなる企業を定義し、マーケティングと営業の目的意識を一致させ、個別のマーケティングシナリオを展開する。リードの「量」よりも「質」にこだわる。

ABMの実践に当たっての3つのフェーズ

1.Identify:アカウント ターゲティング
2.Coverage:アウェアネス/リードジェネレーション
3.Engagement:ナーチャリング/クオリファイ

上記3つのフェーズの中で、Identifyは既存のMAにはない要素であり、ABMを成功に導くポイントとなる。

ABMを成功に導くために

「どのような企業が理想的な顧客なのか。全社的に共通理解を持ち、的確なターゲットリストを作ってアプローチすることが大切だ」(小柴)

SPEEDAマーケティング担当者の3つの気づき

1.エンタープライズ(大規模企業)の分野でもオンラインマーケティングが最重要
2.「人」よりも「部署」よりも、「企業」のターゲティングが重要
3.「小さな独占の連続でマーケットを開拓する」こと

SPEEDAマーケティングの流れ

1.SPEEDA導入企業のニーズ(使い方)によるセグメンテーション
→ユーザー企業は3つに分類
2.この3つのセグメントごとに「現状の売り上げ規模」や「今後の成長性」、「サービス継続率」を分析
3.セグメントごとの営業戦略やABM戦略を策定し、展開

具体例

【3つのセグメント分け】
・プロファーム(銀行、証券、コンサルティング、ファンド、商社)」
・営業/マーケティング部門
・経営企画

【戦略】
プロファーム(銀行、証券、コンサルティング、ファンド、商社)

 プロファームのニーズは提案資料の作成がメイン。大きな売り上げがあり継続性も高いが、ほぼ全てのターゲット企業に導入済みで今後の成長の幅は狭いので、今後はアップセルを狙う。ABMは、導入済みの大手銀行・証券・商社を対象に、部署単位で成功事例を横展開し、未導入の部署をなくしていく。また、新設のファンドやコンサルにもスピーディーにアプローチする。

営業/マーケティング部門

 営業/マーケティング部門のニーズは営業戦略策定、ターゲット企業特定、リサーチ。現状、売り上げ規模は小さく継続率も低いが、高い成長性を見込める。ABMでは、どんな事業会社の営業/マーケ部門をターゲットにするかの選定が難しかったが、SPEEDAの「約70の業界中分類」「560の業界小分類」の機能を使って、最終的に19分類、500社に絞り込んだ。市場の状況は常に変化するため、この500社は動的に変化している。

経営企画

 経営企画のニーズは中期経営計画の策定、M&Aや事業計画。売り上げ規模、成長性ともに伸長が期待できるので、積極的に新規顧客を獲得していく。ここで課題となったのが、経営企画という組織があいまいで、ターゲットとなる企業像が不明確だったことだ。そこで、同社が提供する経済ニュースプラットフォーム「NewsPicks」を使って経営企画部に関するアンケートを実施した。結果、経営企画担当者のセルフイメージとして「調整役・事務局・情報収集屋」といった「守り」のタイプと「企業参謀・戦略家、未来を考える部署、改革推進者」といった「攻め」のタイプに分かれることが分かった。

 ABMのターゲットは「攻めの経営企画」に決定した。具体的には、M&Aやグローバル展開に積極的な企業、新規事業開発やベンチャー投資に積極的な企業をターゲティング。そこから、オンラインではキーワードを入れたコンテンツ配信、オフラインではターゲットに訴求するセミナーを開催するなどして、ターゲットリストの人にアプローチをしていった。

 効果測定においては、ターゲットリスト企業のリードのみをカウントするようにし、量より質を徹底。これまで、経営企画担当者向けに100〜200人規模のセミナーを実施しても有効なリードを獲得できなかったのに対し、ターゲティングした20〜30人規模のセミナーを開催すると確実に契約が取れたという。

自分が欲しいプロダクトとして作ったABM支援ツール「FORCAS」


 ユーザベースが展開するABMは現在、全体で約2000社をターゲティングしている。先述した3つの大セグメントをさらに細かく分類し、それぞれ具体的なマーケティング施策を取っている。この細かなターゲティングと地道なマーケティング実践によって、“小さな市場”を独占する。これを繰り返していくことがマーケットの独占につながっていくわけだが、そのためにも企業名ベースでターゲティングとリスト作成を作成し、あらゆる企業情報を集約し分析することが重要となる。

 
 SPEEDAはもともと、コンサルや投資銀行で企業情報の収集や分析に追われていたユーザベース共同創業者の新野良介氏、梅田優祐氏の経験を基に、当時の苦労を解消すべく開発したサービスだ(関連記事:「法人向け企業・業界情報プラットフォーム『SPEEDA』がABMを視野に入れる理由」)。自分たちが欲しいものを作ることが顧客の役に立つサービスを提供することにつながると信じ、それを実践して成長してきたユーザベースの姿勢はここでも一貫している。

 FORCASは「予測する」のFORECASTと「集中する」のFOCUSを合わせた造語であり、データ分析に基づいてアプローチすべきアカウントを予測し、マーケティングと営業のリソースをそのターゲットアカウントに集中するという、戦略的なB2Bマーケティングをサポートする。

具体的な4つの機能


データの集約:社内に散在する情報をアカウントごとに集約
ターゲティング:スコア付きアカウントリストを自動で作成、フィルタリングも可能
分析・可視化:用意されたシナリオごとにランク付け、シナリオの有効度が分かる
セールスインサイト:社内コンタクト、商談、既存客との類似度、シナリオなど営業に活用できる情報を提供

ABMの意義

最後に佐久間氏は「ABMは、社会全体の生産性を上げることができる手法。ムダな営業、ムダなマーケティングをなくし、セールス・マーケターの生産性を高め、創造性を解放する。ABMで、顧客も欲しいプロダクトを早く手に入れられるようになる」と語り、ユーザベースのミッションである「経済情報で、世界をかえる」になぞらえて「ABMで、世界をかえる」のひと言を掲げ、講演を締めくくった。

参考

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